民法は、普通方式の遺言について3種類、特別方式の遺言について4種類を定めています。
この中で、特別方式の遺言とは、(1)死亡危急者遺言、(2)伝染病隔離者遺言、(3)在船者遺言、(4)船舶遭難者遺言を言います。
(1) 死亡危急者遺言
死亡危急者遺言とは、疾病その他の事情によって死亡の危急に迫った者の遺言を言います(民法976条)。
死亡危急者遺言では、証人3人以上の立会いが必要となり、①遺言者が証人の1人に遺言の趣旨を口授し、②口授を受けた者がこれを筆記し、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後に、③各証人が遺言書に署名、押印するなどの方式が必要となります。
(2) 伝染病隔離者遺言
伝染病隔離者遺言とは、伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にある者の遺言を言います(民法977条)。
伝染病隔離者遺言では、警察官1人及び証人1人以上の立会いが必要となりますが、他人に遺言書を代筆させることもできます。
(3) 在船者遺言
在船者遺言とは、船舶中の者の遺言を言います(民法978条)。
在船者遺言では、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いが必要となりますが、他人に遺言書を代筆させることもできます。
(4) 船舶遭難者遺言
船舶遭難者遺言とは、船舶の遭難により死亡の危急に迫った者の遺言を言います(民法979条)。
船舶遭難者遺言では、証人2人以上の立会いが必要となり、証人が遺言の趣旨を筆記して、これに署名、押印することが必要となります。
特別方式の遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から6か月生存するときは、当然に失効します(民法983条)。