相続分の譲渡とは、遺産全体に対する共同相続人の有する包括的持分又は法律上の地位を譲渡することを言います。
相続分の譲渡は次のようなケースで行われます。
① 法定相続分と異なる遺産分割をしたいが、一部の共同相続人の反対のために円滑にできない場合に、相続分の一部の譲渡により、反対者と無関係に目的を達成することができる。
② 内縁の配偶者など、本来は相続人として扱ってもいいはずであるが、法定相続分を有しない第三者に対し、相続分を譲渡することによって、法定相続分を有しない第三者が遺産分割に関与できるようになります。
相続分の譲受人は、譲渡人が遺産の上に有する持分割合をそのまま承継取得し、遺産分割手続に関与することができるようになります。
相続分の譲渡人は、排除の裁判により遺産分割手続から離脱し、遺産分割調停、審判における当事者適格も失うことになると考えられます。
よって、遺産分割手続に関与したくない相続人がいる場合は、相続分の譲渡により、遺産分割調停、審判などの手続から排除されるという方法を取ることもできます。