遺留分の割合には、総体的遺留分と個別的遺留分があります。
総体的遺留分とは、相続財産から被相続人が自由に処分できる自由分を除いた割合的な遺留分を言います。
総体的遺留分は、相続人が誰であるのかによってその割合が変わってきます。
① 相続人が直系尊属のみである場合は、相続財産の3分の1が総体的遺留分となります(民法1028条①)。
② その他の場合は、相続財産の2分の1が総体的遺留分となります(民法1028条②)。
その他の場合としては、次の4つの場合があります。
◎ 相続人が直系卑属だけの場合
◎ 相続人が直系卑属と配偶者の場合
◎ 相続人が直系尊属と配偶者の場合
◎ 配偶者だけの場合
個別的遺留分とは、総体的遺留分を法定相続分の割合に従って配分した各遺留分権利者に固有の遺留分のことを言います。
個別的遺留分の割合=総体的遺留分の割合×法定相続分の割合
よって、例えば、1000万円の財産を有していた亡き夫Xの相続で、妻Y及び子供2人(A及びB)が法定相続人の場合には、総体的遺留分は、相続財産の2分の1(500万円)となります。
そして、妻Yの個別的遺留分は、総体的遺留分500万円にYの法定相続分の割合である2分の1を乗じて、250万円となります。
子供ABの個別的遺留分は、総体的遺留分500万円にAB各々の法定相続分の割合である4分の1を乗じて、各々125万円となります。
【妻Y・子ABの個別的遺留分の計算式】
妻Yの個別的遺留分=1000万円×1/2(総体的遺留分)×1/2(法定相続分)
=250万円
子Aの個別的遺留分=1000万円×1/2(総体的遺留分)×1/4(法定相続分)
=125万円
子Bの個別的遺留分=1000万円×1/2(総体的遺留分)×1/4(法定相続分)
=125万円