遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有すると定められます(民法1012条Ⅰ)。
そして、相続人は、遺言執行者がある場合には、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができないと規定されています(民法1013条)。
この規定は、遺言執行者がいる場合に、相続人に対して相続財産の処分権限を制限した規定となります。
遺言執行者には、委任に関する民法644条~647条・650条が準用されます(民法1012条Ⅱ)。この委任の規定の準用により、遺言執行者には、①費用償還請求権と②報酬請求権が認められます。
① 費用償還請求権(民法650条)
遺言執行者が、遺言の執行のために必要な費用を支出したり、債務を負担した場合には、相続人に対しその費用の償還ないし弁償を求めることができます。
また、遺言執行者が過失なくして被った損害については、遺言執行者は相続人にその賠償を請求することができます。
② 報酬請求権(民法1018条、648条)
遺言執行者は、遺言中に報酬の定めがあれば、それに従って報酬を請求することができ、遺言中に報酬の定めがなくても、家庭裁判所は相続財産の状況やその他の事情を考慮して報酬を定めることができます。