遺贈とは、被相続人が遺言によって無償で自己の財産を他人に与える処分行為を言います(民法964条)。
遺贈者は被相続人であり、遺贈によって財産を与えられた者を受遺者と言います。
受遺者は、相続人以外の第三者であってもいいですし、自然人に限らず法人であっても構いません。
よって、お世話になった施設(法人)に遺産を遺贈したり、相続権のない内縁の妻に遺贈をすることができます。
遺贈の種類として、特定遺贈と包括遺贈があります。
特定遺贈とは、遺言者の有する特定の財産を具体的に特定して無償で与える場合を言います。
例えば、遺言者の有する特定の不動産を受遺者に遺贈するような場合です。
包括遺贈とは、遺言者が財産の全部又は一部を一定の割合を示して遺贈することを言います。
例えば、遺言者の財産の全部を包括して遺贈したり、財産の全部を、XとYに対し2分の1ずつの割合で包括して遺贈するような場合です。
負担付遺贈とは、受遺者に財産を与えるだけでなく、一定の行為を負担させることを内容とした遺贈を言います。
例えば、遺言者が受遺者に対して、年老いた妻の介護を見ることを条件に財産をあげるような場合です。
受遺者が負担を履行しない場合、相続人は、相当の期間を定めて催告をし、その期間が徒過したときは、遺贈の取消しを家庭裁判所に請求することができます(民法1027条)。
特定遺贈の受遺者は、いつでも、遺贈を放棄することができます(民法986条①)。
包括遺贈の受遺者が放棄する場合には、相続の承認・放棄に関する規定が適用されます(詳しくは、相続の承認・放棄に関するQ&Aをご覧下さい)。