遺言執行者が必要な場合は、どのような場合でしょうか。

遺言執行者が必ず必要となる遺言事項は、①認知、②相続人の廃除・その取消し、③一般社団法人の設立となります。
①から③はいずれも、多くの遺言書作成者にとっては馴染みがなく、関係のない事柄ですので、遺言書を作成するに当たって、遺言執行者は必ずしも必要がないとも言えます。

しかし、遺言執行者が指定されていることで次のようなメリットがあります。

① 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他の遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない(民法1013条)。

よって、遺言執行者を指定しておけば、相続人が遺言の内容に反する行為(遺言の執行を妨害する行為)をしようとした場合、それを排斥できるという利点があります。

例えば、被相続人Xの遺言書にはA土地をBに遺贈すると記載されているのに、単独相続人Yが遺言書に反してA土地を第三者Cに売却した場合、遺言執行者が指定されていれば、遺言の内容に反する第三者Cへの売却行為は絶対的に無効として扱われます。

② 一定の遺言事項については、遺言執行者がいなければ相続人全員の共同行為が必要となりますが、遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が相続人全員の代表として手続きをすることになるので、大幅に手間が省略され、手続きを迅速に処理することができます。

例えば、遺贈や信託の設定、生命保険金の受取人の指定・変更、銀行預金の払い戻しや名義変更の手続きは遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が単独で行うことができ、共同相続人が全員で複雑で煩わしい手続きをする必要がなくなります。


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