遺言執行者には、指定遺言執行者と選定遺言執行者の二種類があります。
【指定遺言執行者】
遺言者は、遺言で一人または数人の遺言執行者を指定し、またはその指定を第三者に委託することができます(民法1006条Ⅰ)。これを指定遺言執行者と言います。
遺言執行者の指定は必ず遺言によらなければなりません。
遺言執行者は、就職を承諾することによって、その任に就きます。
遺言執行者に指定された者が就職を承諾するか否かについては、諾否の自由があり、指定を承諾する義務はありません。ただし、就職を承諾したときには、遺言執行者は直ちにその任務を行わなければなりません(民法1007条)。
【選定遺言執行者】
遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、遺言執行者を選任することができます(民法1010条)。これを選定遺言執行者と言います。
遺言執行者の選任申立てができる利害関係人とは、相続人、受遺者、相続債権者や相続人財産管理人等を言います。
家庭裁判所で遺言執行者が選任されるには、遺言の内容が執行を必要とするものでなければなりません。
また、「遺言執行者がないとき、又はなくなったとき」とは、指定遺言執行者が初めから存在しないとき、または指定遺言執行者がいったん就職したが死亡その他の事由により存在しなくなったときを言います。
利害関係人が遺言執行者の選任申立てをする場合には、遺言執行者の候補者を推薦することが行われますが、家庭裁判所は必ずしも推薦に拘束されるものではありません。