被相続人が、生前有していた現金も、遺産として遺産分割の対象となります。
尚、現金は、銀行口座に預けているものではなく(この場合は現金ではなく、銀行預金となります。)、家で保管していたり(いわゆる、タンス預金)、銀行の貸金庫に預けている場合などです。
ここで、注意したいのが、現金は、銀行預金と扱いが異なり、相続の開始とともに当然に分割されません。そのため、相続開始の際に、共同相続人のうちの一人が、(現金を保管している)他の共同相続人に対して、自分の法定相続分に相当する部分の現金を渡すように言うことはできません。
よって、例えば、1000万円の現金を残していた亡き夫の相続で、妻及び子供2人が法定相続人の場合に、子供のうちの1人が、現金を保管している妻に対して、遺産分割前に、子供1人の法定相続分(4分の1)に相当する250万円を渡すように言うことはできません。
遺産である現金が誰に帰属するかは、共同相続人間の遺産分割協議で定められたり、遺産分割調停・審判で決められることになります。