相続人は、相続開始の時から、被相続人の一身に専属したものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。
ここで、注意して頂きたいのが、相続するのは、被相続人の財産に属した一切の権利義務ということです。
つまり、相続人は、権利だけでなく、義務も相続することになりますが、義務で代表的なものは借金(お金を返さなければならない義務)でしょう。
相続が発生すると、被相続人は、相続人の負っていた借金も相続し、返済しなければなりません。
相続人が複数いる場合は、遺産分割手続を経ることなく、相続によって当然に、各共同相続人に法定相続分に相当する部分の借金が承継されます。
よって、例えば、1000万円の借金をしていた亡き夫の相続で、妻及び子供2人が法定相続人の場合には、遺産分割の手続をしなくても、妻は法定相続分(2分の1)に相当する500万円、子供1人は法定相続分(4分の1)に相当する250万円の借金を相続し、支払わなければならなくなります。