寄与分が認められるための要件は次のとおりです。
① 特別の寄与行為
「特別の寄与」とは、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超える貢献を言います。
例えば、妻の寄与分が認められるためには、家事労働のほかに夫の農業や家業を無償で手伝ってきたという貢献や重度の認知症の夫の介護を無償で行ってきたなどの貢献が必要となります。
被相続人である夫の妻が家事労働を行ってきたというだけでは、「特別の寄与」は認められません。
夫婦間の協力扶助義務(民法752条)、親族間の扶養義務・互助義務(民法877条Ⅰ)の範囲内の行為は、寄与分として相続分を修正する事由とは認められず、「特別の寄与」には当たりません。
② 被相続人の遺産が維持又は増加したこと(財産の維持又は増加との因果関係)
寄与行為と遺産の維持・増加との間には因果関係が存することが必要となります。
寄与行為の結果として被相続人の財産が維持され、増加しなければなりません。