共同相続人間で遺産分割について協議が合意に至らない場合や協議をすることができない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることができます。
調停は、原則として、家事審判官及び調停委員をもって組織する調停委員会がこれを行います。
実務上は、弁護士その他の専門家を含む民間から選ばれた調停委員により、相続に関する事情の聴取を行い、共同相続人間の意見を調整して、調停案の提示等が行われます。
調停手続は、その本質は協議による遺産分割手続きであり、調停委員が共同相続人間の話し合いの斡旋をしてくれます。
遺産分割調停の手続きでは、次のような事項が話し合われます。
① 相続人の範囲を確定します。
② 相続分を確定します。
③ 遺産の範囲や評価を確定します。
④ 特別受益の有無や金額を確定します。
⑤ 寄与分の有無や金額を確定します。
⑥ 法定相続分及び特別受益や寄与分を踏まえて、具体的な遺産を誰に帰属させるのか、誰が誰に代償金を払うのかなどの遺産分割の方法を決定します。
調停手続きにおいて当事者間の合意が成立した場合には、合意した内容について調停調書が作成され、調停が成立し、それに基づき遺産が分割されることになります。
共同相続人間に合意が成立せず、遺産分割調停事件が不成立によって終了した場合には、遺産分割審判手続きに移行します。
遺産分割審判においては、家庭裁判所の審判官(裁判官)が、法定相続分に基づき、また、遺産の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、共同相続人の誰にどの財産を帰属させるかを具体的に決めることになります。