遺言をするには、遺言時点で「遺言能力」を備えていることが必要です。
遺言能力としては、遺言の内容を理解し、遺言の結果を弁識し得るに足りる意思能力があればよく、民法はその基準を15歳としています(民法961条)。
よって、15歳未満の者がした遺言は遺言能力を欠き、無効となります。
意思能力がない者の遺言も無効となります。
意思能力の判断に当たっては、見当識、記憶力、認知能力、知能の4要素を基に判断されますが、下級審判例では、通常人としての正常な判断力・理解力・表現力を備え、遺言内容について十分な理解力を有していた場合には、遺言能力としての意思能力に欠けるところはないと判示されています(東京地判昭和63年4月25日)。
反対に、遺言者が自己の財産を理解していない、遺言の内容が理解できない、日付や年齢が分からないなどの状況のときは、遺言能力の有無は慎重に判断されるべきでしょう。
成年被後見人の遺言については、成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師2人以上の立会いがなければなりません(民法973条)。