遺留分減殺請求権とは、自己の遺留分を侵害された遺留分権利者及びその承継人が、自己の遺留分を保全するのに必要な限度で、贈与や遺贈を受けた者に対して、遺留分を侵害する遺贈や贈与などの処分行為の効力を否定すること(遺留分の減殺)を請求する権利を言います(民法1031条)。
遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年で時効により消滅します(民法1042条前段)。
また、相続開始の時から10年を経過したとき(この場合、遺留分権利者が相続の開始等を知っていたか否かに関わりません。)も遺留分減殺請求権は消滅します(民法1042条後段)。
このように、遺留分減殺請求権が1年又は10年で消滅するとされているのは、いつまでも遺留分減殺請求権が行使できるとしたのでは、相続をめぐる法律関係が安定しないからです。
遺留分減殺請求権の行使方法は、必ずしも訴えの方法によることを要せず、相手方(受遺者又は受贈者など)に対する意思表示によってすれば足ります。尚、遺言執行者がいる場合には、遺言執行者にも遺留分減殺請求権を行使することを伝えておくべきでしょう。
実際には、相手方に対する意思表示は、配達証明付きの内容証明郵便でする場合が多いと言えます。内容証明郵便で意思表示をすれば、遺留分減殺請求権を行使したことが明確になり、遺留分減殺請求権の行使について事後的に争いになった場合の証拠にもなるためです。